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https://thelibraryatpendrellvale.com/seize-a-miracle-by-angelo-cadei-and-marco-aquila/

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かつて奇跡がレガシーの頂点に立っていたことから、全てのレガシープレイヤーは奇跡というデッキの存在を知っている。
今回は奇跡について一般的な話はしない(なぜなら、これまでに素晴らしいプレイヤー、コミュニティによる膨大な量の知見の蓄積があるからだ)。
代わりに、この記事では奇跡についての特定の側面に焦点を絞って話すこととする。
師範の占い独楽の禁止後、奇跡というデッキでは多くの弱点が露呈し、その弱点をどう補うかについて1年以上にわたって検討が続けられてきた。

問題点
あらゆるマジックのデッキでは長所と短所があります。独楽の禁止後、過去の独楽相殺コンボによるソフトロックは鳴りを潜めるけっかとなり、「奇跡コンボ」デッキは弱点を露呈し続けました。
相殺は禁止になっていないので、相殺を奇跡デッキに投入することはできるものの、ライブラリー操作が必要で、対戦相手の脅威に対して絶え間なくライブラリー操作を繰り返すことが極めて困難なものとなってしまいました。
意志の力をトップにおいて必要に応じて戦場にある師範の占い独楽と入れ替えるということも困難となり、奇跡はハンデスに対して非常にもろいデッキになってしまいました。
ショーテル、ANT、リアニメイトといったコンボデッキに対して非常に相性の悪い状態になってしまいました。
これらのデッキに対して強い形の奇跡デッキについて今回は書いていきます。

コンボへの回答
奇跡デッキは過去から現在に至るまで青白をベースとしたうえで赤をタッチしたりしなかったりという構成です。奇跡デッキに青赤白以外のカードで入るカードは外科的提出ですが、これはファイレクシアマナのおかげで黒マナを使わずにうてます。
現在、強固なマナベースを担保しながら基本に帰れを用いるために赤を採用しない傾向が強くなっている。我々はこの「基本に帰れプラン」についても探求したいが、赤霊破と紅蓮破のオプションも魅力的だ。
まずは古典的な青白タッチ赤の奇跡の構成を見てみよう。

---デッキリスト----
Creatures (3)
3 Snapcaster Mage
Spells (29)
2 Counterspell
2 Predict
4 Brainstorm
4 Force of Will
4 Swords to Plowshares
1 Council’s Judgment
1 Entreat the Angels
3 Portent
4 Ponder
4 Terminus
Permanents (8)
2 Counterbalance
2 Search for Azcanta
3 Jace, the Mind Sculptor
1 Engineered Explosives
Lands (20)
1 Arid Mesa
1 Scalding Tarn
2 Plains
2 Polluted Delta
3 Tundra
3 Volcanic Island
4 Flooded Strand
4 Island
Sideboard (15)
2 Vendilion Clique
1 Monastery Mentor
1 Red Elemental Blast
2 Pyroblast
3 Flusterstorm
3 Surgical Extraction
2 Disenchant
1 Gideon, Ally of Zendikar

この構成におけるコンボデッキへの対応カードについてみてみよう
・狼狽の嵐
このカードは非常に汎用性の高いカードで、多くのデッキで2~4枚(筆者らは3枚)採用されているカードだ。
ハンデスから手札を守ったり、ストームに対してとても強い。また、相手が調子に乗って複数の呪文を一度にスタックに積んだ時に、それらを一掃することもできる。

・赤霊破と紅蓮破
赤を採用する大きな理由になるカード。ショーテルに対するガードというだけでなく、クロックパーミッションのデッキに対するガードになる。 これらはおおよそ2~4枚の範囲で採用されている(多くの場合、赤霊破と紅蓮破を散らす形で採用されている)

・ヴェンディリオン三人衆
我々のお気に入りのカード。瞬唱と同じで盤面にクロックとして残る。非常に柔軟でかつスキルを要求するカードで、他のカードでは対応できない状況を解決することができるカード。例えば、実物提示教育で全知を場に出す際の最高の回答の一つは、全知と同時にヴェンディリオン三人衆を出してキャストするタイミングを与えずに相手の手札のエムラクールをライブラリに送り込むという動きだ。
このカードは0~3枚採用されている(筆者らは師範の占い独楽の禁止後3枚から2枚に枚数を減らしている)

・外科的摘出
多くのコンボデッキは、墓地を経由する動きをとるので、外科的摘出は墓地利用プランを妨害するためのカードとして非常に有効だ。例えば、ANTの炎の中の過去を除去したり、リアニメイトの釣り竿に対応してクリーチャーをどかすことができる。
墓地に頼らないコンボデッキに対しても、1つ目のキーカードに対処した後に、そのカードを抜くといった方法がとれる。
安らかなる眠りのような能動的な墓地対策のカードもあるが、自分が瞬唱の魔導士を使っている以上、渦巻く知識や狼狽の嵐といったカードをフラッシュバックするチャンスを失いたくはない。
また、意志の力と外科的摘出は第1ターンのリアニメイトに対しての回答となる。リアニメイトに対しての回答としては安らかなる眠りがあるが、2マナであることからドレッジやリアニメイトに対して遅すぎることが多い。
外科的摘出は予想されるメタゲームに応じて2~3枚採用される。

・摩耗/損耗
だまし討ちや、動く死体、沈黙の墓石、防御の光網などのコンボデッキがもつ「対策の対策」に対して有効

・神聖の力線
ハンデスやバーンへの回答


コンボデッキに対する新しいソリューション
これまで、コンボデッキが奇跡デッキに対峙したとき、「コンボに必要なカードを集め、それを押し通すのに必要なだけのハンデスやカウンターを用意する」ということが可能で、奇跡デッキの持つ「相殺」という厄介なカードに対しては突然の衰微をエンドステップに唱えて、帰ってきた次のターンで殺しに行くという動きもとることができた。
この動きに我々の考えた新しいソリューションの肝がある。
思考囲いは最も強いハンデスの1つで、手札1枚と黒1マナ(そして、2点のライフ)で土地以外のカードを取り除くことができる。このカードは奇跡にとって2つの使い方がある。1つは自分から精神を刻む者、ジェイスや僧院の導師といったカードをたたきつけるときに、これらのカードを押し通す相手の回答を取り除く使い方です。しかし、それ以上に重要なのは、これまでヴェンディリオン三人衆でしか行えなかった手札への干渉という使い方で、3マナかかるヴェンディリオン三人衆とは違い、思考囲いはゲームの早いターンで使用することができます。
思考囲いは、対戦相手のゲームプランを壊すという別の強力な側面があります。
思考囲いを採用している以上、もはや「相手を乗り越えるだけの手札が来るまで待てばいい」というプランが成立しないために、コンボデッキは安全を十分に確認した状態でコンボをスタートすることができなくなります。
この効果ははっきりと目に見えるものではないものの、大きな影響を与えます。例えば、対戦相手が渦巻く知識を打った時に、手札破壊から守りたいカードをライブラリに仕込むといった形で相手の行動に一定の制約をかけることとなります。

以下のデッキは「天使への願い+アズカンタの探索によるコントロール重視デッキ」と「僧院の導師を使用した積極的なデッキ」の2つです。
どちらをとるかは好みですが、どちらも有効な選択肢となります。
---天使への願い+アズカンタバージョン---
Creatures (3)
3 Snapcaster Mage
Spells (29)
1 Entreat the Angels
4 Force of Will
2 Counterspell
4 Terminus
4 Swords to Plowshares
1 Council’s Judgment
1 Path to Exile
4 Brainstorm
4 Ponder
1 Predict
3 Preordain
Permanents (8)
3 Jace, the Mind Sculptor
2 Counterbalance
2 Search for Azcanta
1 Engineered Explosives
Lands (20)
4 Island
2 Plains
3 Tundra
2 Volcanic Island
1 Underground Sea
4 Flooded Strand
1 Polluted Delta
1 Scalding Tarn
1 Misty Rainforest
1 Arid Mesa
Sideboard (15)
1 Vendilion Clique
2 Disenchant
1 Council’s Judgment
3 Flusterstorm
2 Pyroblast
1 Red Elemental Blast
2 Surgical Extraction
3 Thoughtseize

---メンターバージョン---
Creatures (6)
3 Monastery Mentor
3 Snapcaster Mage
Spells (28)
4 Force of Will
2 Counterspell
3 Terminus
4 Swords to Plowshares
1 Council’s Judgment
1 Path to Exile
4 Brainstorm
4 Ponder
3 Preordain
2 Predict
Permanents (6)
3 Jace, the Mind Sculptor
2 Counterbalance
1 Engineered Explosives
Lands (20)
4 Island
2 Plains
3 Tundra
2 Volcanic Island
1 Underground Sea
4 Flooded Strand
1 Polluted Delta
1 Scalding Tarn
1 Misty Rainforest
1 Arid Mesa
Sideboard (15)
1 Vendilion Clique
1 Council’s Judgment
2 Disenchant
3 Flusterstorm
2 Pyroblast
1 Red Elemental Blast
2 Surgical Extraction
3 Thoughtseize

思考囲いで落とすカードの選択について説明します。これらのデッキでは高いマナコストのカードで身動きがとれないようなことは避け、1ターンに複数の呪文を唱えていくことを目指しています。そのため、ゼンディカーの同盟者、ギデオンや至高の評決といった高コストなカードは存在しません。
4色デッキなので、2色デッキが行うような基本に帰れを用いたプランをとるのは推奨できません。
1枚の強いカードに頼るのではなく、ゲーム全体を通して細かいアドバンテージを積み重ね、ドローゴーの状況を作るようにすることが大事です。

そのほか、細かいカードについて
・流刑への道
このカードは役立つ場面が多いことから5枚目の剣を鋤にとして採用しています。秘密を掘り下げるもの、死儀礼のシャーマン、そして暗黒の深部からでるマリッドレイジトークンに対して打つためのカードです。
特に、秘密を掘り下げるものや死儀礼のシャーマンデッキは基本土地を採用していないことも多いので、ノーリスクの除去となります。
遅いデッキにとって、対戦相手の死儀礼のシャーマンは瞬唱の魔導士の動きを止めてしまう効果が大きいので、たとえ基本土地を提供することとなっても、これらのカードを除去することには大きな意味があります。
また、5枚目のカードとして採用することで、対戦相手の外科的摘出に対するリスク軽減にもなります。

・仕組まれた爆薬
このカードは4色デッキでは特に優れたカードとなります。このカードは4マナのプレインズウォーカーを破壊することができる上に、真の名の宿敵、ラスアナ、リリアナ、血染めの月、3玉、レオヴォルド、霊気の薬瓶などにも対応できます。また、虚空の盃すら割ることができるようになります。
また、対エルフでは5枚目の終末のような動きもとることができます。

・定業
多くのプレイヤーは、禁止後の師範の占い独楽のスペースに先触れを使用することを選びました。我々は、先触れというカードは4つの機能をもつ強力なカードとして認識しています。
1:対戦相手を対象とすることがでる。
2:レオヴォルドに阻害されないキャントリップ
3:相殺とのシナジーがある
4:相手のアップキープに奇跡を発生させることができる。
これら4点は非常に素晴らしい効果です。では、なぜ我々は定業を選んだのか。
答えはシンプルで、定業は先触れと違って、見つけた土地をすぐ置くことができるからです。また、僧院の導師のスペルチェーンとも相性がよく、多くの呪文を1ターンのうちに唱えてトークンの数とサイズを大きく増やすことができます。
また、コンボデッキに対しては思考囲いを見つけたらすぐに投げつけることが大事になります。先触れはこれができません。ソーサリー呪文は相手のターンになるまで手札にやってこないからです。
また、定業は特定のカードにたいして「ライブラリを掘る」力が強いです。
定業+(思案 or 渦巻く知識) はデッキをシャッフルする手段がなくとも6枚のカードを見ることができる点に対して、先触れでは一度シャッフルをしないといけないからです。定業はシャッフル手段を持たない状況では最高のカードでもし、先触れでみた3枚が「1枚の欲しいカード+いらない2枚のカード」という状況だった場合どうなるでしょう。ほしいと判断したカードが裏目になったら?こういったリスクに対して定業は非常に優秀なカードです。

マナベース
強固なマナベースはコントロールデッキでは他のアーキタイプに比べて非常に重要なものとなります。もし、マナを伸ばせていない場合にはゲームプランはボロボロになってしまいます。
中盤から後半にかけて奇跡デッキは6枚の土地が必要になります。デッキが4色になっても、土地枚数を減らすことは望ましくありませんでした。これは、不毛の大地と血染めの月デッキに対して勝つために重要な点です。
これらのことから土地に関しては枚数を妥協することはできないと判断しました。

結論
奇跡デッキがコンボデッキに勝つために思考囲いを採用することについては代償もあります。
天使への願い型ではサイドボードにメンターを採用する能力を失い、メンターバージョンではゼンディカーの同盟者、ギデオンといった追加の脅威を失います。
3枚のボルカニックアイランドを2枚にするのは紅蓮破や赤霊破を使う上では大した問題ではないので気軽に考えがちですが、このデッキを対デルバーデッキに持ち込むのは危険です。
この手法はコンボデッキに対する厳しい部分を改善してくれるが、対フェアデッキという点では弱体化します。
思考囲いを追加するだけの価値があるかどうかはあなたが対峙するデッキの種類に依存します。定業に関しては、思考囲いがメタゲームに対する最高の答えかどうかにかかわらず強くお勧めします。
青白タッチ赤、または青白タッチ赤黒でドローを潤滑にし、奇跡デッキを機能させてくれます。
[Angelo Cadei / Marco Aquila]


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