意志の力というカード
2017年12月11日 Magic: The Gatheringミラクル使いが声を大にして言いたい主張が1つある
「意志の力は弱い!」という主張だ
レガシープレイヤーの人なら、ミラクル使いじゃなくても同意してくれる人もいるとは思うが、非青デッキを使ってたり、モダン/スタンプレイヤーの場合
「あんなインチキカードを使ってるくせに!」と、言いたくなるかもしれない。
ただ、本当にミラクル使いにとって意志の力は弱いんだということを知ってほしい。
では、このテーマで順を追って説明しよう。
1.ミラクルにとって最適な土地の枚数は?
これは、デッキ内に入れる土地の枚数ではなく、「ゲームを通してセットする土地の最適枚数」を意味している。
対戦相手のデッキによって少しは前後したり、例外はあるが、基本的には「相手の土地の枚数+2」枚がミラクルにとって最適な土地枚数である。
多くのデッキでは土地の最適枚数は3枚なので、概ね5枚前後がミラクルの必要マナ数になる。
グリデルなどの2枚ぐらいの土地でいいデッキでは4枚ぐらいの土地枚数に抑えて、スペルカウントを稼ぐし、デスタクなどの相手の場合はマナに不自由しないように6~7枚(デスタク側はギデオンを出せる4枚~5枚ぐらいが最適枚数)の土地をゴールとするゲームプランになる。
2.土地の枚数とアドバンテージ
対戦相手よりも2枚多い土地を要求する以上、「ゲームを通じて+2のアドバンテージを取ること」がミラクル側に要求される条件になる。
これを達成するためにどのような手段がミラクルにあるかを見ていこう。
3.除去を腐らせてアドを稼ぐ
除去(特に、クリーチャー除去)を腐らせることが一番メジャーな手法で、剣鍬、プッシュと言った除去を相手のハンドに封印しておけばそれだけでアドを稼いだことと同値になる。
ただし、レガシーでは「より質の高いクリーチャー」というもの自体が除去よりも便利なことが多いので、しばしばネメシスやレオボルドが採用される。
また、2マナ以降では突然の衰微や仕組まれた爆薬を代表とする「クリーチャー以外のパーマネントも触ることが出来る」除去が多く存在し、アズカンタの探索や相殺を採用しているミラクルにとっては、腐らすことの出来る除去は意外と少ない。
特に、サイド後は相手は除去を減らすので、この手法によってアドを稼ぐことが難しくなる。
4.ターンを稼いでアドを稼ぐ
ターンを稼いで対戦相手に過剰な土地をドローする機会を多く与えるとそれだけでアドバンテージにつながっていく
ミラクル側は思案、ブレスト、ジェイス、アズカンタ、瞬唱と言ったカード群で引き込む土地枚数をコントロールできるうえに、ジェイスやアズカンタなどの大量のマナから多くのリソースを得るカードが採用されていることから、「過剰な枚数」となるラインが非常に緩い。
特に、メンターでフィニッシュを決めるときには1マナドロースペルの連打をすることから多くのマナを要求するので土地がたくさんあって困ることは無い
(もちろん、最適な枚数は先ほど述べた通り対戦相手の最適枚数+2枚なんだけど、それ以上引いても相手よりは被害が少ないということ)
ゲームが長引けば長引くほどミラクル側が有利になるというのは、こういうことなのである。
さて、土地の過剰ドローや除去を腐らせるといったことを話したが、この見えにくいアドバンテージをチャラにしてしまうカードがレガシーには存在しており、それはご存知「渦まく知識」である。
したがって、対青系デッキではこの戦略をとる難易度が跳ね上がる(上手な人ほど土地を手なりでは置きません。青赤デルバー等はかなり顕著で、対戦相手が4枚目の土地を置いて、手札が2枚ある場合、1枚が土地で1枚が意志の力だと思ったほうが良い)。
逆に言えば非青系デッキではこの戦略がかなり有効なので、対戦相手の手札に何枚ぐらい不要牌があるのかを想像しながらアドバンテージを計算すると良い。
このことから、非青系デッキがミラクルと対戦する場合「マナフラッドの受けになるカード」かつ「序盤に引いても強いカード」がゲームに強い影響を与える
(なぜ、「序盤に引いても強いカード」という条件があるかというと、遅いゲームではミラクルが有利なので、対戦相手は早いターンに効果的なカードを連打する必要があるから(序盤に弱いカードを手札に抱えることは、それ自体がディスアドとなる)。具体的にはウギンの目やリシャーダの港、森の知恵、各種PW)
5.直接的にアドを稼ぐ
・ジェイスのブレスト
・ジェイスの検閲による不要牌の押し付け
・メンターのトークン
・瞬唱
・予報
・終末
これらのカードでアドを稼ぐのが直接的な方法。
また、コンボデッキのキーカードを打ち消すことで、残りのコンボパーツを手札に腐らせるというのもアドを稼ぐことが出来る。ただ、コンボデッキの多くは渦まく知識を使用しているので、コレについては過信は禁物。
6.で、結局どういう話か
ここまでで、ミラクルのアドバンテージに関する話を書いたが、ミラクルはこういった涙ぐましい方法でアドバンテージを稼いでいる。
(横から見て、「終末ブッパでアド取ってるじゃん」とか「ご都合終末っすか」みたいな気持ちになるのはわかりますが、使ってる側としては結構シンドイですよ)
そして、このアドバンテージの稼ぎ方はミラクル側が「デッキ全体を総動員して」行っている動きで、単体のカードで稼いでいるわけではない。
直接的なアドバンテージの確保方法だけ見ても、
・ジェイスのブレスト→土地20枚のデッキで4枚目の土地を置くにはドローサポートを何回も打つ必要がある
・ジェイスの検閲による不要牌の押し付け→同上
・メンターのトークン→多くの土地に加えて、軽いスペルを多く積む必要がある
・瞬唱→墓地にカードを用意しないといけない
・予報→アドを稼ぐには他のカードのサポートが必須
・終末→ブレストやジェイスで仕込む手間が必要
このように、デッキ全体でサポートする必要があることが見て取れると思う。
こうやって稼いだアドバンテージをあっさりと消費してしまうカードが意志の力というカードで、「デッキ全体でアドバンテージを獲得する」というミラクルの基本思想からとことん離れたカードであることが「ミラクル使いが意志の力を弱いと感じる理由」である。
他のデッキがhymnや石鍛冶、森の知恵、レオボルドといった2マナ, 3マナのカードでアドバンテージをガンガン取ってくることと比べると極めて細い線をたどっている(まぁ、だからと言って偉いわけでも何でもないが)労力を打ち消してしまうカードなのだ。
7.意志の力というカード
さて、ここで一つの思考実験をしてみるとする。
意志の力というカードのテキストを書き換えるとした場合に、どのような書き換えなら等価かということ考える。
まず、意志の力にピッチコストのテキストがない場合は何マナが適正コストかということだが、万能打消しの代表格の対抗呪文を考えると青青が妥当のように見える。
(ただ、現実にレガシーのデッキで対抗呪文を採用しているデッキは多くなく、多くのデッキでは打消しとして紅蓮破や呪文貫き、狼狽の嵐に頼っている。
狼狽の嵐は少し性質が違うものの、万能確定カウンターは1マナでは強すぎて、2マナではレガシーでたまに見かける程度。というのが妥当な評価だろう。
それを考えると適正コストは2マナよりも少ない1.8マナだとか1.7マナだとか、そういったラインになる。)
つまり、意志の力のテキストを書き換えるとこのようになる
意志の力 青青
あなたの手札の青のカードを1枚追放し、ライフを1点払う。:あなたのマナプールに青青を加える、これはこの呪文を唱えるためだけに使用できる。
といったカードになる。
飛躍した表現になることを重々承知の上で書けば、意志の力というカードは手札の青いカードを睡蓮の花びら2枚に代えるカードということになる。
8.2枚の睡蓮の花びら
「2枚の睡蓮の花びらって超強いじゃねーか」と思う人もいると思う。
確かにそれは強いことには間違いないのだが、問題は(打消し専用の)睡蓮の花びら2枚の価値がデッキによって大きく異なるということである。
ミラクルというデッキは睡蓮の花びらを欲しているデッキでもなく、強く使えるデッキでもない(一時的なマナ加速のためにアドバンテージを消費するデッキではない)
だから、ミラクルというデッキにとって意志の力というカードは弱いのである。
意志の力って弱いよなぁ...でも抜くわけにもいかないしなぁ...という愚痴をダラダラ書いた記事でした。
「意志の力は弱い!」という主張だ
レガシープレイヤーの人なら、ミラクル使いじゃなくても同意してくれる人もいるとは思うが、非青デッキを使ってたり、モダン/スタンプレイヤーの場合
「あんなインチキカードを使ってるくせに!」と、言いたくなるかもしれない。
ただ、本当にミラクル使いにとって意志の力は弱いんだということを知ってほしい。
では、このテーマで順を追って説明しよう。
1.ミラクルにとって最適な土地の枚数は?
これは、デッキ内に入れる土地の枚数ではなく、「ゲームを通してセットする土地の最適枚数」を意味している。
対戦相手のデッキによって少しは前後したり、例外はあるが、基本的には「相手の土地の枚数+2」枚がミラクルにとって最適な土地枚数である。
多くのデッキでは土地の最適枚数は3枚なので、概ね5枚前後がミラクルの必要マナ数になる。
グリデルなどの2枚ぐらいの土地でいいデッキでは4枚ぐらいの土地枚数に抑えて、スペルカウントを稼ぐし、デスタクなどの相手の場合はマナに不自由しないように6~7枚(デスタク側はギデオンを出せる4枚~5枚ぐらいが最適枚数)の土地をゴールとするゲームプランになる。
2.土地の枚数とアドバンテージ
対戦相手よりも2枚多い土地を要求する以上、「ゲームを通じて+2のアドバンテージを取ること」がミラクル側に要求される条件になる。
これを達成するためにどのような手段がミラクルにあるかを見ていこう。
3.除去を腐らせてアドを稼ぐ
除去(特に、クリーチャー除去)を腐らせることが一番メジャーな手法で、剣鍬、プッシュと言った除去を相手のハンドに封印しておけばそれだけでアドを稼いだことと同値になる。
ただし、レガシーでは「より質の高いクリーチャー」というもの自体が除去よりも便利なことが多いので、しばしばネメシスやレオボルドが採用される。
また、2マナ以降では突然の衰微や仕組まれた爆薬を代表とする「クリーチャー以外のパーマネントも触ることが出来る」除去が多く存在し、アズカンタの探索や相殺を採用しているミラクルにとっては、腐らすことの出来る除去は意外と少ない。
特に、サイド後は相手は除去を減らすので、この手法によってアドを稼ぐことが難しくなる。
4.ターンを稼いでアドを稼ぐ
ターンを稼いで対戦相手に過剰な土地をドローする機会を多く与えるとそれだけでアドバンテージにつながっていく
ミラクル側は思案、ブレスト、ジェイス、アズカンタ、瞬唱と言ったカード群で引き込む土地枚数をコントロールできるうえに、ジェイスやアズカンタなどの大量のマナから多くのリソースを得るカードが採用されていることから、「過剰な枚数」となるラインが非常に緩い。
特に、メンターでフィニッシュを決めるときには1マナドロースペルの連打をすることから多くのマナを要求するので土地がたくさんあって困ることは無い
(もちろん、最適な枚数は先ほど述べた通り対戦相手の最適枚数+2枚なんだけど、それ以上引いても相手よりは被害が少ないということ)
ゲームが長引けば長引くほどミラクル側が有利になるというのは、こういうことなのである。
さて、土地の過剰ドローや除去を腐らせるといったことを話したが、この見えにくいアドバンテージをチャラにしてしまうカードがレガシーには存在しており、それはご存知「渦まく知識」である。
したがって、対青系デッキではこの戦略をとる難易度が跳ね上がる(上手な人ほど土地を手なりでは置きません。青赤デルバー等はかなり顕著で、対戦相手が4枚目の土地を置いて、手札が2枚ある場合、1枚が土地で1枚が意志の力だと思ったほうが良い)。
逆に言えば非青系デッキではこの戦略がかなり有効なので、対戦相手の手札に何枚ぐらい不要牌があるのかを想像しながらアドバンテージを計算すると良い。
このことから、非青系デッキがミラクルと対戦する場合「マナフラッドの受けになるカード」かつ「序盤に引いても強いカード」がゲームに強い影響を与える
(なぜ、「序盤に引いても強いカード」という条件があるかというと、遅いゲームではミラクルが有利なので、対戦相手は早いターンに効果的なカードを連打する必要があるから(序盤に弱いカードを手札に抱えることは、それ自体がディスアドとなる)。具体的にはウギンの目やリシャーダの港、森の知恵、各種PW)
5.直接的にアドを稼ぐ
・ジェイスのブレスト
・ジェイスの検閲による不要牌の押し付け
・メンターのトークン
・瞬唱
・予報
・終末
これらのカードでアドを稼ぐのが直接的な方法。
また、コンボデッキのキーカードを打ち消すことで、残りのコンボパーツを手札に腐らせるというのもアドを稼ぐことが出来る。ただ、コンボデッキの多くは渦まく知識を使用しているので、コレについては過信は禁物。
6.で、結局どういう話か
ここまでで、ミラクルのアドバンテージに関する話を書いたが、ミラクルはこういった涙ぐましい方法でアドバンテージを稼いでいる。
(横から見て、「終末ブッパでアド取ってるじゃん」とか「ご都合終末っすか」みたいな気持ちになるのはわかりますが、使ってる側としては結構シンドイですよ)
そして、このアドバンテージの稼ぎ方はミラクル側が「デッキ全体を総動員して」行っている動きで、単体のカードで稼いでいるわけではない。
直接的なアドバンテージの確保方法だけ見ても、
・ジェイスのブレスト→土地20枚のデッキで4枚目の土地を置くにはドローサポートを何回も打つ必要がある
・ジェイスの検閲による不要牌の押し付け→同上
・メンターのトークン→多くの土地に加えて、軽いスペルを多く積む必要がある
・瞬唱→墓地にカードを用意しないといけない
・予報→アドを稼ぐには他のカードのサポートが必須
・終末→ブレストやジェイスで仕込む手間が必要
このように、デッキ全体でサポートする必要があることが見て取れると思う。
こうやって稼いだアドバンテージをあっさりと消費してしまうカードが意志の力というカードで、「デッキ全体でアドバンテージを獲得する」というミラクルの基本思想からとことん離れたカードであることが「ミラクル使いが意志の力を弱いと感じる理由」である。
他のデッキがhymnや石鍛冶、森の知恵、レオボルドといった2マナ, 3マナのカードでアドバンテージをガンガン取ってくることと比べると極めて細い線をたどっている(まぁ、だからと言って偉いわけでも何でもないが)労力を打ち消してしまうカードなのだ。
7.意志の力というカード
さて、ここで一つの思考実験をしてみるとする。
意志の力というカードのテキストを書き換えるとした場合に、どのような書き換えなら等価かということ考える。
まず、意志の力にピッチコストのテキストがない場合は何マナが適正コストかということだが、万能打消しの代表格の対抗呪文を考えると青青が妥当のように見える。
(ただ、現実にレガシーのデッキで対抗呪文を採用しているデッキは多くなく、多くのデッキでは打消しとして紅蓮破や呪文貫き、狼狽の嵐に頼っている。
狼狽の嵐は少し性質が違うものの、万能確定カウンターは1マナでは強すぎて、2マナではレガシーでたまに見かける程度。というのが妥当な評価だろう。
それを考えると適正コストは2マナよりも少ない1.8マナだとか1.7マナだとか、そういったラインになる。)
つまり、意志の力のテキストを書き換えるとこのようになる
意志の力 青青
あなたの手札の青のカードを1枚追放し、ライフを1点払う。:あなたのマナプールに青青を加える、これはこの呪文を唱えるためだけに使用できる。
といったカードになる。
飛躍した表現になることを重々承知の上で書けば、意志の力というカードは手札の青いカードを睡蓮の花びら2枚に代えるカードということになる。
8.2枚の睡蓮の花びら
「2枚の睡蓮の花びらって超強いじゃねーか」と思う人もいると思う。
確かにそれは強いことには間違いないのだが、問題は(打消し専用の)睡蓮の花びら2枚の価値がデッキによって大きく異なるということである。
ミラクルというデッキは睡蓮の花びらを欲しているデッキでもなく、強く使えるデッキでもない(一時的なマナ加速のためにアドバンテージを消費するデッキではない)
だから、ミラクルというデッキにとって意志の力というカードは弱いのである。
意志の力って弱いよなぁ...でも抜くわけにもいかないしなぁ...という愚痴をダラダラ書いた記事でした。
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